「次世代リーダーを育てたい」——そう言いながら、育成プログラムを作っても「この人に任せられる」という人材がなかなか育たない。この状況、実は多くの企業に共通しています。プログラムは走っているのに、育っている実感がない。その差は、どこから生まれるのでしょうか。
次世代リーダーが育たない組織には、共通した育成設計の穴があります。この記事では、その穴を明らかにし、本当に機能するリーダーシップ開発の設計について考えます。
「研修を受けさせれば育つ」という思い込み
多くの企業のリーダー育成は、「選抜→研修受講→現場に戻す」という流れで終わっています。しかし、研修を受けただけでリーダーシップが身につくことはほぼありません。
リーダーシップは、実際に責任ある仕事を任され、困難に直面し、フィードバックを受けながら磨かれるものです。研修はそのための「気づき」や「フレーム」を提供できますが、それだけでは不十分です。
研修を「ゴール」ではなく「スタート」として設計できているかどうかが、リーダー育成の成否を分けます。
「育たない」の前に、「育てる人がいない」
次世代リーダーを育てるのは、多くの場合その上の管理職です。ところがその管理職自身が、育成に手が回っていません。
パーソル総合研究所の調査(管理職2,000名)では、37.5%が「部下育成が不十分」、56.2%が「後任者の不在」を課題として挙げています。次の世代が育っていないという問題は、現場の管理職も自覚しています。そのうえで手が打てていない。
ここを飛ばして「リーダー候補向けの研修」だけを設計すると、研修の場では学べても、戻った職場に育てる人がいないという形になります。設計の穴は、たいていここに開いています。
出典:パーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査」(全国・企業規模50人以上の企業の管理職2,000名への調査、2019年)
次世代リーダー育成が失敗する3つのパターン
▶ パターン1:「選抜」で終わっている
優秀な人を選んで研修に送ったあと、現場での役割や経験が変わらなければ、育成は進みません。選抜は育成の始まりであり、選んだ後の設計こそが重要です。
▶ パターン2:研修が「学びっぱなし」になっている
研修で学んだことを実践する場、振り返る機会、フィードバックをもらう仕組みがないと、学びは定着しません。研修後のフォロー設計が抜けているケースがほとんどです。
▶ パターン3:「経験」が設計されていない
リーダーシップは経験から育ちます。ストレッチアサインメント(少し背伸びする仕事)、プロジェクトリーダーの機会、部門横断の役割など、「成長できる経験」を意図的に用意できているかが問われます。
機能するリーダー育成プログラムの設計要素
効果的なリーダーシップ開発には、以下の要素を組み合わせることが重要です。
- ストレッチアサインメント:現状より少し難しい仕事・役割を意図的に与える
- コーチング・メンタリング:経験を内省し、意味づけするサポート
- 研修・インプット:フレームや知識を提供し、思考の質を高める
- ピアラーニング:同じ立場のリーダー候補が学び合い、刺激し合う場
- 定期的な振り返り:経験を言語化し、次の行動につなげるリフレクション
これらをセットで設計することで、「研修だけ」の育成から脱却できます。
リーダー候補を選抜したあとに社内横断プロジェクトのリーダー役を任せ、月次でコーチングと振り返りをセットで回す——ここまで設計できている組織は、数年単位で見たときに管理職候補の層が明らかに厚くなります。選抜そのものではなく、選抜後の設計が差を生むのです。
まとめ:リーダーは「育てる」ものではなく「育つ環境を設計する」もの
次世代リーダーが育たない最大の理由は、リーダーが育つための環境と経験が設計されていないことです。研修を提供するだけでなく、経験・フィードバック・内省のサイクルを組織として設計することが、本当のリーダー育成です。
今週の一歩として、自社の「リーダー候補」と思う人物を一人思い浮かべ、その人が直近半年で「初めて任された責任ある仕事」があったかどうかを確認してみてください。なければ、それが育成の空白です。
ディレクターズコネクトでは、次世代リーダー育成の設計から実施まで一貫してご支援しています。「リーダーが育たない」という課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。